子どもの心の変化を「手のひらの向き」でたとえてみると、とてもわかりやすくなります。
手のひらが上を向いている状態というのは、ちょっと刺激的な言い方かもしれませんが、いわば“物乞い”のような姿勢。
つまり「与えてもらうのを待っている」「受け身」の状態を指しています。
これは決して悪いことではなく、多くの子どもたちは最初、そのような心持ちで物事に向き合っています。
たとえば、「勉強はやらされるもの」「先生に言われたからやる」といった感じです。
でも、その手のひらがふとした瞬間に下を向き、自分から「つかもう」とする動きに変わることがあります。
それが、心が受け身から能動へと切り替わる瞬間です。たとえば、それまで受け身で勉強していた子が、ある日「英語で80点を取りたい」と思うようになったとき。
まさにその瞬間、手のひらは“ひっくり返った”んです。
部活でも、なんとなく参加していただけだった子が、「レギュラーになりたい」「試合で勝ちたい」と思い始めたときも、同じように心の向きが変わっています。
こうした「手のひらがひっくり返る瞬間」は、子どもの内側で起こる小さな革命のようなもの。
すごく大切な瞬間です。大人にできるのは、その変化を見逃さないこと。
そして、子どもが何かを「つかもう」としているときに、その気持ちをちゃんと受け止めて、思いっきり応援してあげることです。
指示や管理ではなく、一緒に喜んだり支えたりすることが大切なんだと思います。
子どもたちは毎日、心の中で少しずつ手のひらを動かしています。その変化をしっかり感じ取って、そのタイミングを逃さず支えることが、子どもの成長を後押しする大事な役割なんだと感じています。