更新日:2025年8月3日
自分のルーツ
私は29歳のとき、ニュージーランドへ渡り、約5年間をそこで過ごしました。
日々働きながら、週末にはセーリングを楽しむ生活。
穏やかな自然と人々に囲まれた時間は、心が自由になる感覚を味わわせてくれました。
特に印象的だったのは、セーリング仲間との関わりです。
年配の方も若者も、年齢にとらわれることなく、ごく自然にフラットな関係で会話をしていました。
上下関係を感じさせず、対等な目線で互いを尊重し合う姿に、最初は驚き、やがて心地よさを感じるようになりました。
そんな環境の中で、私は“自分は地球人なのだ”という実感を持つことができました。
同時に、だからこそ気づいたのです。
自分はやはり日本人でもあるのだと。
大学時代に学んだ先輩後輩の関係性、敬語の使い方や礼儀作法。
そういった文化を自然に身につけてきた私は、それらを窮屈に感じていた面もあったはずなのに、離れてみて初めて、それが自分の中に根を張っていることに気づきました。
先輩を敬い、後輩を大切にし、同期とは対等に支え合う。
そんな人間関係のあり方が、自分の“好き”の感覚に合っている。
自分のルーツはここにあるんだ、と感じたとき、私は自然と帰国を決めていました。
日本とニュージーランド。
二つの国の文化に触れたことで、私は自分の立ち位置を確認し、誇れるルーツを見つけることができたのだと思います。